Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
高機能材料第1研究室
JAERI-Conf 2000-003, p.174 - 0, 2000/03
高崎研では、東南アジア諸国のそれぞれと2国間研究協力を行っており、放射線を利用した澱粉の橋かけ、天然ゴムラテックスの橋かけ、絹タンパク質の分解、海産多糖類の分解などの研究を進めている。これらの協力研究は、東南アジア特産の天然高分子を材料として、放射線加工技術により付加価値を高め、応用分野の拡大を図ることを目的としている。したがって、個々の材料は異なるが、放射線の作用には共通点があり、情報交換をとおして効率的に研究を進めることができ、資源のリサイクル及び環境汚染防止という強い社会的要請に応える技術の確立に役立つ。そこで、2国間研究協力の相手国5か国から研究者を招いて「天然高分子の放射線加工処理」に関するワークショップを開催し、これまでの成果の発表及び今後の展開に関する討議を行った。本ワークショップには国内外の研究者61名(外国人16名,国内29名,原研16名)が参加し、2国間研究協力の相手国5か国から11件、原研から6件、外部からの招待講演2件の講演を行った。本論文集は、ワークショップで発表された論文等を編集したものである。
A.Amsal*; 瀧上 眞知子*; 伊藤 均
Food Sci. Tech. Res., 5(2), p.153 - 155, 1999/00
東南アジアでは澱粉資源が豊富に生産されている。この澱粉資源を有効利用するためには糖化処理が必要である。澱粉の糖化のためには、通常は100~140Cで熱処理してから酵素分解している。Aspergillus awamoriは生澱粉を低pH下で糖化できるが、活性が低いのが問題である。A.awamoriは紫外線や線で突然変異誘発が困難である。本研究では、Cイオンビームを凍結乾燥したA.awamori胞子に照射したところ-アミラーゼ活性が2~3倍に向上した変異株が多く分離された。イオンビームによる変異誘発は線に比べ5~10倍高かった。また、イオンビーム照射で得られた変異株のキャッサバ、サゴ、スクンの生澱粉消化性も2~3倍に向上した。
A.Aryanti*; 瀧上 真智子*; 伊藤 均
食品照射, 33(1-2), p.37 - 40, 1998/00
生澱粉を糖化処理することはエネルギー消費の低減の上で意義がある。Aspergillus awamoriは低pH下で生澱粉を消化できるが、変異処理による消化性の向上が望ましい。本研究ではCイオンと線による変異誘発効果を比較し、生澱粉消化性について検討した。線とイオンビーム照射による変異株の出現率を酵素活性の向上によって比較したところ、酵素活性が向上した変異株の出現率はイオンビームの方が著しく多かった。また、これらの変異株によるキャッサバ澱粉、サゴ澱粉、スクン澱粉の消化性は2倍以上に向上した。
久米 民和; 田村 直幸
Starch, 39(3), p.71 - 74, 1987/03
被引用回数:14 パーセンタイル:66.47(Food Science & Technology)無蒸着澱粉を用いた醗酵培地への放射線殺菌の応用の基礎として、グルコアミラーゼによる生澱粉消化性に対する線照射の影響について検討した。タピオカ澱粉の消化性は照射により減少したが、用いた他の澱粉(小麦、トウモロコシ、甘藷、馬鈴薯)ではほとんど変化は認められなかった。タピオカ澱粉は照射によって凝集し、著しく沈降しやすくなった。このタピオカ澱粉の凝集は、超音波処理により完全に再分散させることができた。したがって、タピオカ澱粉では他の澱粉と異なり、照射によって凝集、沈降といった変化が起こることによって生澱粉消化性が減少したものと考えられた。しかし、超音波処理による生澱粉消化性の回復は完全ではなく、他の因子の関与も考えられる。
久米 民和; 田村 直幸
食品照射, 20(1), p.9 - 12, 1985/00
澱粉の無蒸煮発酵へ放射線殺菌法を応用するための基礎として、各種澱粉を照射したときの生澱粉消化性について検討した。澱粉粉末に1Mradの照射を行うと、タピオカでは生澱粉消化性が減少したが、他の小麦、トウモロコシ、甘藷、馬鈴薯澱粉では変化はほとんど認められなかった。一方、フォトペーストグラフィーにおいて、タピオカの澱粉粒子の溶解開始温度は照射によって高くなり、糊化しにくくなっていた。また、タピオカの澱粉粒子は照射により凝集し、沈降しやすくなった。したがって、照射により澱粉粒子表面にこれらの変化が生じることによって、生澱粉消化性が低下したものと考えられる。
久米 民和; 武久 正昭
Radiation Physics and Chemistry, 23(5), p.579 - 582, 1984/00
馬鈴薯澱粉廃液をモデルとして、未利用資源の飼料化への放射線処理効果について検討した。澱粉廃液中の懸濁物質は、5Mradまでの照射を行うことにより凝集が促進された。キチンの脱アセチル化物であるキトサンを凝集剤として用いると、照射廃液での凝集効果が著しく、キトサンと照射を併用することによる凝集促進効果が認められた。廃液中の可溶性タンパク質はキトサンにより凝集させることはできないが、照射することによりタンパク質が不溶化しキトサンによる凝集が容易となった。用いた凝粉廃液中には大腸菌群は検出されなかったが、総細菌数は1ml当り810個検出された。また10%のキトサンによる廃液凝集物(約8倍に濃縮)中には3.510個/mlの総細菌数が検出された。これら廃液および凝集物を照射するとほぼ同様の殺菌曲線が得られ、1.0Mradの照射で各々11個および45個/mlにまで減少した。したがって、キトサンの存在が殺菌効果に影響を及ぼすことはなかった。
久米 民和; 武久 正昭
食品照射, 17, p.28 - 31, 1982/00
食品や畜産業の廃水からタンパク質等を回収して飼料化することを目的として、キトサンによる廃水からのタンパク質回収効果と放射線照射効果について検討した。馬鈴薯澱粉廃液、血液廃液およびBtreptomyces菌体懸濁液をモデルとして取り上げ、キトサンによる凝集効果を検討した結果、懸濁物質凝集のためのキトサン最適濃度は澱粉廃液で0.8~1.010%、血液廃液で6~810%菌体懸濁液で3~510%であった。殺菌線量レベルの照射を行った廃水では、澱粉および血液廃水でキトサンによる凝集促進効果が認められた。とくに澱粉廃液中の水可溶性タンパク質に対するキトサンによる凝集効果は照射により著しく増大させることができた。一方、菌体懸濁液を照射すると、キトサンによる凝集効果は減少することが認められた。
久米 民和; 小林 信夫*; 奥 秋明*; 青木 章平
Agricultural and Biological Chemistry, 43(8), p.1625 - 1632, 1979/00
低粘度化を目的として線照射処理した澱粉に対する加熱溶解時のpHの効果について検討した。アミログラムおよびB型粘度計による冷却粘度測定の結果から、照射澱粉は糊化時のpHが高い程粘度低下が著しくなり、非照射試料との粘度差が大きいことが認められた。市販の酸化澱粉(味の素エスサンサイザー600)と同程度の低粘度澱粉を得るための必要線量は、pHを調整しない場合約7Mradであるのに対し、pH7.0では約5Mrad、pH11.0では約3Mradとなり、pHを高くすることにより必要線量を小さくすることが可能であった。一方、照射澱粉の溶解度はアルカリ側で顕著に増大した。また、溶解残渣について走査型電子顕微鏡で観察を行った結果、照射試料ではpHを高くすると粒表層部からの成分溶出が著しくなり、粒構造が崩壊しやすくなっていることが認められた。